我が家の前に私道がある。
車が出入りするぐらいの道で、その側に花が咲いた。
名前が分からぬが黄色い美しい花だ。
お絵描き教室に持ち込んで、ケイタイで調べてもらった。
ビヨウ(未央)柳といって、花言葉は「幸」だそうだ。
持ち込んで、良かった。


高柳






東大病院 No.2 

懐かしい思いで東大病院に着いた日、いよいよ診察が始まった。
結果は骨には異状なし。

エコー検査の結果、指裏の筋(Plantan plate)が損傷しているという。
運動のし過ぎが原因らしい。
第2指は改善が難しいようだが、テーピングをしばらく続けましょう、ということで意外にあっけない結末となった。

帰り道、東大龍岡門の隣に今は消えてしまった我が母校、文中四中があったのだが、
その前を通りながら、授業をさぼって東大三四郎池で絵を描いていて
後で先生に叱られたことを思い出していた。


高柳






アリスの遊び場(東大病院 No.1)

友人の医者が紹介状を書いてくれるというので、東大病院の足の先生に診てもらうことになった。

東京大学は私にとって懐かしい所である。
というのは、70年ほど前は東大の中は病院を除いては敗戦後の跡が色濃く残り、窓ガラスは粉々で壁と鉄枠だけの研究室など、子供の、いや私の遊び場として絶好の場所だったのである。
内部には鉱石の標本が無造作に捨てられていたり、壊れた人体骨の模型がにらんでいたり、水晶のような方解石や黄銅鉱、黄鉄鉱はまるで金の鉱石のようにキラキラ輝いていた。
廃墟の中は、不思議の国であった。

私の家は塀一つ乗り越えれば東大の中という所にあり、そこは悪ガキ、自由に出入りしていた。
現在は全てが変化し、記憶の中のあの場所や三四郎池は今でも鮮明に記憶に残っている。

続く


高柳







靴物語 No.4

日本では見かけないが、50年前にロンドンで有名な「チャーチ」の靴を買った。
足先の横があたるので店員に言うと、即座に真空吸い取り器のようなものでその個所をピンポイントで吸い取り、すぐに履けるようになった。

そこで「形状記憶」という言葉を思い出した。
シャツの売り場などでよく見かける。
靴にも形状記憶させればよいのだ。
毎日、記憶喪失している私の靴に記憶させるのでは大変である。
私自身だって記憶が定かではないのに・・・

こんど靴修理店で聞いてみよう。案外、木型を靴に打ち込み私と同じことをするかもしれないが、考えると少し可笑しい。


高柳






靴物語 No.3 

最近朝起きるのが楽しいのである。
何のことはない、靴がどうなっているか見届けたいのである。
少しでも伸びていれば嬉しいのだ。

木型を入れた翌朝、申し分なく伸びている靴の顔を見て安心するのだが、いざ履いてみるといつも裏切られる。
でも今日こそは!と思うのである。
だから朝が待ち遠しい。

期待してしまうのだ。
その度に裏切られ、でも明日こそは!と、期待してしまう私は、まるでキリストのように寛大なのだ。


高柳






靴物語り No.2 歩行困難

もちろん、外を歩く時は靴は必要である。
その靴が(足指のトラブルのため)木型を無理に押し込められ、数足が悲鳴をあげている。
恥ずかしいので数足と書いたが、実際は運動靴を含め7足である。
どれも皆新品である。

ところが左足に集中していて右足のことをあまり考えていなかったが、最近右足の指先が痛みを感じ始めて来た。
左右の足先の形が違うのでこういうことが起きる。
左良ければすべて良しとはいかない。

一日も早くスムーズに歩けるように祈りながら、一日の終わりに大きな木型を革靴に突っ込むのである。
またテレビの音が聞こえて来た。
革製(カワセ)とカブの音(ネ)ウゴキ・・・


高柳






「靴」物語 No.1

少しずつ異なった左足の木型(厚さ2cmの合板ベニヤを切り抜いたもの)を数種、
新品の靴にハンマーで打ち込み、これでもかとばかり広げている毎日。
ある人は「靴もビックリですね!」というが、靴痛(くつう)に歪んだ顔は、
靴にとって最大の屈辱ともいえる。

しかし自分の足が大切である。
負けじとハンマーで木型を打ち込む、打ち込む。
しかし24時間経とうが、48時間経とうが、涼しい顔で元に戻ってしまう。
恐るべき現代の革靴。

あきれ返ってふとインソールを見ると、フットベッドと書いてあった。
そうか、インソールとは言わないのか、foot bedが正しいのか・・・

我に返った。
そうなると、私が今まで書いた「ソール」の駄洒落が色あせて思えてきた。


高柳








シューストレッチャー

変形した足指を恨めしく思いつつ、今日も靴にこだわっている。
左足の薬指あたりが痛いのである。
中敷きコラージュは作品としては面白いのだが、どうもうまくない。
靴屋が言うのには、各メーカーによってサイズ基準はまちまちだそうだ。

ついに靴(くつ)の勉強は苦痛(くつう)に変わった。
しかし、これを乗り越えないと歩けないので、新たなアイディアを絞りし、シューストレッチャーを購入した。
足に合わせ、靴を変形させるのである。
また夜な夜な夢中になってしまった。
靴を柔らかくするスプレーをかけ、木型でぐいぐい広げるが靴もさるもの、強靭である。
縫い目があるのだ。
24時間我慢して待ち、木型を外してみると最初はいくらか良いのだが、またすぐに戻ってしまう。
カワはすごい!!
聞こえてくるテレビでは「カワセとカブのネウゴキ・・・」などと言っている。
さて、新たな一歩を踏み出せるか?


高柳








インソールコラージュ

足指トラブルの為、靴選びの毎日が続いた。
その場では良いと思って購入するのだが、家で履いてみると帯に短し、オールモスト(もうちょい!)が多い。

「にっちもさっちも」いかなくなった時、或るところでルイ・アームストロングの歌声を聞いた。
そういえば、彼のニックネームは「サッチモ」である。
魂、ソールに深く沁みこむ歌声である。
ソール、インソール・・・

ふと、靴屋のアドバイスを思い出し、インソールコラージュを始めた。
重ねたり、切ったり貼ったり、靴の中敷きアートの毎日である。

切ってしまったら元に戻らない。アートの祭りである。
アートフェスティバルなどとダジャレをとばしながら、今日も我が足の為、頑張っている。


高柳







靴で泣く

以前にも書いたが、左足先の指が曲がったまま硬化してしまった。
現在手持ちの靴はどれを履いても痛みが治まらず、結局新しい靴を買わざるを得なくなった。

ビルケン何とかというドイツの靴屋を紹介してもらい、店に飛び込んだ。
驚いたことにこのビルケン店は、どの靴も足先が「あひる」、いや「かものはし」のくちばしのように広がっているのである。
これは良いかもしれないと思い、悩んだ末購入した。
明日届くように配送を頼んだ。

しかしまだ届かない靴と自分の姿を想像し、足先がチャップリン状態の「ファッション性」より「機能性」を求めた自分に期待と不安でいっぱいである。


高柳






プロフィール

版画家高柳とエクレア

Author:版画家高柳とエクレア
高柳裕の制作日記と最新情報をお届けします。

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