心眼で見る
人は、視力の衰えはいたしかたないものだ。
有名なところでは画家のボナールの白内障である。
手術を受けた後に思い通りに見えないのに苛立ち、オレンジ色だか
なんだかの眼鏡をつくり調整していたらしい。
そこでよく考えてみると、画家は若い頃培ったデッサン力や色感というのが
体に染みついているから、その通りに見えないと気持ちが悪いのと、
昔の記憶のように見ようとする。つまり脳で記憶されているように
見ること。これが「心眼」なのだと私は思う。
ボナールも「心眼」で見ようとしていたのかもしれない。
高柳