靴物語 No.3 

最近朝起きるのが楽しいのである。
何のことはない、靴がどうなっているか見届けたいのである。
少しでも伸びていれば嬉しいのだ。

木型を入れた翌朝、申し分なく伸びている靴の顔を見て安心するのだが、いざ履いてみるといつも裏切られる。
でも今日こそは!と思うのである。
だから朝が待ち遠しい。

期待してしまうのだ。
その度に裏切られ、でも明日こそは!と、期待してしまう私は、まるでキリストのように寛大なのだ。


高柳






靴物語り No.2 歩行困難

もちろん、外を歩く時は靴は必要である。
その靴が(足指のトラブルのため)木型を無理に押し込められ、数足が悲鳴をあげている。
恥ずかしいので数足と書いたが、実際は運動靴を含め7足である。
どれも皆新品である。

ところが左足に集中していて右足のことをあまり考えていなかったが、最近右足の指先が痛みを感じ始めて来た。
左右の足先の形が違うのでこういうことが起きる。
左良ければすべて良しとはいかない。

一日も早くスムーズに歩けるように祈りながら、一日の終わりに大きな木型を革靴に突っ込むのである。
またテレビの音が聞こえて来た。
革製(カワセ)とカブの音(ネ)ウゴキ・・・


高柳






「靴」物語 No.1

少しずつ異なった左足の木型(厚さ2cmの合板ベニヤを切り抜いたもの)を数種、
新品の靴にハンマーで打ち込み、これでもかとばかり広げている毎日。
ある人は「靴もビックリですね!」というが、靴痛(くつう)に歪んだ顔は、
靴にとって最大の屈辱ともいえる。

しかし自分の足が大切である。
負けじとハンマーで木型を打ち込む、打ち込む。
しかし24時間経とうが、48時間経とうが、涼しい顔で元に戻ってしまう。
恐るべき現代の革靴。

あきれ返ってふとインソールを見ると、フットベッドと書いてあった。
そうか、インソールとは言わないのか、foot bedが正しいのか・・・

我に返った。
そうなると、私が今まで書いた「ソール」の駄洒落が色あせて思えてきた。


高柳








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