デッサンを探せ!
私はデッサンをしたことがない。
いや、若い頃やった石膏デッサン、人体デッサンのことではない。
版画家として世に出た頃の、版画の為のデッサンと称するものが一枚もないのである。
しかし絵(作品)が出来上がるのだから、なにか手立てはあったはずだと振り返ると、
紙の上にあらかじめ作り置いた写真版と、切り抜いた金属板をあれこれ動かして
位置と色を決めていくだけで、これがいわばデッサンなのである。
こんなことを言ってもお分かり頂けないとは思うが、まず写真ありき、それを必要に応じ
拡大縮小したフィルムを作る。
それに見合う、丸だの三角の金属板を組み合わせ、形を切り抜き、並べ終わるとデッサン終了なのだ。
だから気の利いたエンピツデッサンなど一枚もなかったのである。
高柳