補色残像現象
人は・・というより人間の目は不思議なもので、レンズを通して網膜に
映っている像がすべて上下逆さまであることは有名である。
その逆さまの像を脳がコントロールして正常に視ているのだ。
これは誰でも知っていることであるが、日常の中でそんなことを考えながら
物を見ている人はいない。
ところで、色の世界でも同じようなことが起こっている。
赤い色をしばらく見ていて、白い紙に目を移すと「青緑」がはっきり見える
「補色残像現象」という実験がある。
その逆「青緑」→「赤」もまた然り。
このように12色相環全ては、逆の色、つまり補色が美しい残像となって
見えてくるから不思議である。
大学で教えているころ、学生がこの実験をやるとキャーキャー喜び、先生の
人気があがった。
原因はまだ解らないらしいが、なんとも美しい実験なのだ。
年とともに視力低下の今日この頃、思い出すのはこんなロマンチックな実験
なのである。
高柳