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靴物語 No.4

日本では見かけないが、50年前にロンドンで有名な「チャーチ」の靴を買った。
足先の横があたるので店員に言うと、即座に真空吸い取り器のようなものでその個所をピンポイントで吸い取り、すぐに履けるようになった。

そこで「形状記憶」という言葉を思い出した。
シャツの売り場などでよく見かける。
靴にも形状記憶させればよいのだ。
毎日、記憶喪失している私の靴に記憶させるのでは大変である。
私自身だって記憶が定かではないのに・・・

こんど靴修理店で聞いてみよう。案外、木型を靴に打ち込み私と同じことをするかもしれないが、考えると少し可笑しい。


高柳






靴物語 No.3 

最近朝起きるのが楽しいのである。
何のことはない、靴がどうなっているか見届けたいのである。
少しでも伸びていれば嬉しいのだ。

木型を入れた翌朝、申し分なく伸びている靴の顔を見て安心するのだが、いざ履いてみるといつも裏切られる。
でも今日こそは!と思うのである。
だから朝が待ち遠しい。

期待してしまうのだ。
その度に裏切られ、でも明日こそは!と、期待してしまう私は、まるでキリストのように寛大なのだ。


高柳






靴物語り No.2 歩行困難

もちろん、外を歩く時は靴は必要である。
その靴が(足指のトラブルのため)木型を無理に押し込められ、数足が悲鳴をあげている。
恥ずかしいので数足と書いたが、実際は運動靴を含め7足である。
どれも皆新品である。

ところが左足に集中していて右足のことをあまり考えていなかったが、最近右足の指先が痛みを感じ始めて来た。
左右の足先の形が違うのでこういうことが起きる。
左良ければすべて良しとはいかない。

一日も早くスムーズに歩けるように祈りながら、一日の終わりに大きな木型を革靴に突っ込むのである。
またテレビの音が聞こえて来た。
革製(カワセ)とカブの音(ネ)ウゴキ・・・


高柳






「靴」物語 No.1

少しずつ異なった左足の木型(厚さ2cmの合板ベニヤを切り抜いたもの)を数種、
新品の靴にハンマーで打ち込み、これでもかとばかり広げている毎日。
ある人は「靴もビックリですね!」というが、靴痛(くつう)に歪んだ顔は、
靴にとって最大の屈辱ともいえる。

しかし自分の足が大切である。
負けじとハンマーで木型を打ち込む、打ち込む。
しかし24時間経とうが、48時間経とうが、涼しい顔で元に戻ってしまう。
恐るべき現代の革靴。

あきれ返ってふとインソールを見ると、フットベッドと書いてあった。
そうか、インソールとは言わないのか、foot bedが正しいのか・・・

我に返った。
そうなると、私が今まで書いた「ソール」の駄洒落が色あせて思えてきた。


高柳








シューストレッチャー

変形した足指を恨めしく思いつつ、今日も靴にこだわっている。
左足の薬指あたりが痛いのである。
中敷きコラージュは作品としては面白いのだが、どうもうまくない。
靴屋が言うのには、各メーカーによってサイズ基準はまちまちだそうだ。

ついに靴(くつ)の勉強は苦痛(くつう)に変わった。
しかし、これを乗り越えないと歩けないので、新たなアイディアを絞りし、シューストレッチャーを購入した。
足に合わせ、靴を変形させるのである。
また夜な夜な夢中になってしまった。
靴を柔らかくするスプレーをかけ、木型でぐいぐい広げるが靴もさるもの、強靭である。
縫い目があるのだ。
24時間我慢して待ち、木型を外してみると最初はいくらか良いのだが、またすぐに戻ってしまう。
カワはすごい!!
聞こえてくるテレビでは「カワセとカブのネウゴキ・・・」などと言っている。
さて、新たな一歩を踏み出せるか?


高柳








インソールコラージュ

足指トラブルの為、靴選びの毎日が続いた。
その場では良いと思って購入するのだが、家で履いてみると帯に短し、オールモスト(もうちょい!)が多い。

「にっちもさっちも」いかなくなった時、或るところでルイ・アームストロングの歌声を聞いた。
そういえば、彼のニックネームは「サッチモ」である。
魂、ソールに深く沁みこむ歌声である。
ソール、インソール・・・

ふと、靴屋のアドバイスを思い出し、インソールコラージュを始めた。
重ねたり、切ったり貼ったり、靴の中敷きアートの毎日である。

切ってしまったら元に戻らない。アートの祭りである。
アートフェスティバルなどとダジャレをとばしながら、今日も我が足の為、頑張っている。


高柳







靴で泣く

以前にも書いたが、左足先の指が曲がったまま硬化してしまった。
現在手持ちの靴はどれを履いても痛みが治まらず、結局新しい靴を買わざるを得なくなった。

ビルケン何とかというドイツの靴屋を紹介してもらい、店に飛び込んだ。
驚いたことにこのビルケン店は、どの靴も足先が「あひる」、いや「かものはし」のくちばしのように広がっているのである。
これは良いかもしれないと思い、悩んだ末購入した。
明日届くように配送を頼んだ。

しかしまだ届かない靴と自分の姿を想像し、足先がチャップリン状態の「ファッション性」より「機能性」を求めた自分に期待と不安でいっぱいである。


高柳






足の手おくれ

左足指が気になりだしてから数か月が過ぎた。
足のケアが手遅れとは笑い事ではないが、今では風呂に入る度よくマッサージして、
左足の縮んだ足指を伸ばし、ついでに右足親指の外反母趾も伸ばしている。

歩行中ふらついたり、正常な歩行がうまく出来ないのは、足指のせいもあるかもしれない。
気になりだすとつい集中しすぎるのが私の癖、と人は言う。
あしからず・・・


高柳






足を洗う


昔、時代劇などで「その道から足を洗う」という言葉をよく聞いたものだ。
これは心を入れ替える意味だが、
石鹸でよく足を洗う、汚れを落とす、マッサージすることは本当につくづく大切だと思う。
今では、我が足よ永遠なれ!と叫びたい気持ちだ。
そういえば私はヒールプリント(かかとで作る版画)の産みの親であるのに、オヤオヤ、である・・・
高柳

埼玉県立近代美術館 版画の景色 現代版画センターの軌跡

版画の景色 現代版画センターの軌跡

埼玉県立近代美術館

  • 開催期間:  
埼玉県立近代美術館のHP

高柳先生の作品が出展されます。
ぜひお出かけください。


エクレア







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版画家高柳とエクレア

Author:版画家高柳とエクレア
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